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研究紹介

その他トピックス

This page is written in Japanese.

  • (1)微細加工による製作例

1) PtのUVレーザーCVD

Ar+SHGレーザ(アルゴンレーザ514nmの第2高調波、257nm)でヘキサフルオロアセチルアセトナート白金を光分解して白金(Pt)をライン上に堆積させました。酸素雰囲気で堆積させることにより、基板温度70℃、レーザパワー10mWの比較的温度の低い条件で導電性のPt堆積物を得ることができました。MEMS(微小電気機械システム)のドライマイクロアセンブリ(液状の接着剤を使わないマイクロ部品の組立)の応用することができます。

 

  • (2)基板表面の微細加工による線維芽細胞の接着性制御

細胞を培養する基板表面を微細加工を用いて加工し、その加工表面における線維芽細胞の接着性を制御する研究を行っています。

レジストのラインアンドスペースパターン上の繊維芽細胞(医学部西田教授、川本先生との共同研究)

カバーガラス表面に、レジストで微細な溝を形成し、その上で線維芽細胞を培養して細胞の接着性、配向性を観察しました。幅の広い溝では細胞が配向していることが分かります。

細胞接着親和性の低いフッ素コートをほどこした基板表面を、酸素イオン照射や酸素プラズマ処理によって改質し、細胞接着親和性を制御する技術の開発を行っています。フッ素コート表面では細胞がほとんど接着していないのに対して、改質基板表面では細胞が接着・伸展している様子がわかります。


細胞接着パターニングの概念図

 
線維芽細胞播種後48時間の時点での観察画像
(左)フッ素コート基板、(右)酸素プラズマで15分処理した基板
細胞接着の親和性が異なっていることがわかります。

  • 生分解性ステントの開発

時間が経つと体内で分解/吸収されて無くなってしまう“溶ける”ステントの開発を行っています。

生分解性樹脂の一種であるポリ乳酸のシート素材を使って製作しました。直径約9mmのすきまの空いた筒状になっていますが、体内に挿入するときには直径5mm弱にすることができます。


ポリ乳酸製ステント構造試作例

試作したポリマーステントを用いて、生体内にてどのようにステントが生分解されていくのか、その過程などを評価しています。


  • (3)3次元マイクロファブリケーションとMRI対応ステントの試作

円筒面(非平面)上に微細なパターンを転写する円筒面露光プロセスを開発しました。このプロセスは

・円筒面に均一な厚さでフォトレジスト(感光性樹脂)をコーティングする技術
・平板マスク上の微細パターンを円筒面に光で転写する技術から成り立っています。

円筒面に均一な厚さでフォトレジストをコーティングするために電着レジストを用いました。このレジストは電気メッキのように物体表面に均一にコーティングできるレジストですが、より微細なパターンも転写できるようにするため、コーティング条件を詳しく検討し、厚さ1μmの厚さでコーティングできるようになりました。

平板マスク上の微細パターンを転写するための円筒面露光システムを自作、開発しました。転写の原理は、下図に示すように円筒を回転させるのと速度を合わせて平板マスクを移動させ、その間スリットを透過した紫外光によりマスク上の微細パターンに合わせてフォトレジストを感光させるものです。

この技術をにより直径3mmのチューブ上に25μm(1μmは1mmの千分の一)の細さのパターンを形成することができます。この技術をにより直径3mmのチューブ上に25μm(1μmは1mmの千分の一)の細さのパターンを形成することができます。



この円筒面露光プロセスを用いてMRI対応のステントを試作しました。下図に製作したステントの写真を示します。ステントは網目状の構造を持っています。この網目構造を作るために、網目のパターンをチタンチューブ表面に転写し、そのパターンを使ってチューブを腐食液でエッチングして不要な部分を除去しました。このステントは直径5mmで細いところの寸法は約0.2mmです。

また、ポリマーフィルムにラチェット機構を設けた新しいステントも開発しており、新しい分野への応用が期待されています。


(4)繊毛電極分布型静電マイクロアクチュエータ(E-Maccel, Electrostatic Micro Actuator with Distributed Ciliary Electrodes)

  • 繊毛のようにしなやかに動く電極を多数並べた構造を持ち、静電気力で動くアクチュエータを開発しました。
    アクチュエータは繊毛電極が形成された固定電極基板の間に板状の可動電極が挟まれていて、繊毛電極と可動電極基板の間に静電引力を働かせて、可動電極基板を上下に振動させることにより進みます。

    繊毛電極はポリマー(ポリイミド)の薄膜をバイメタル効果でカールさせ、アルミ薄膜を堆積させて製作します。下の写真は製作した繊毛です。1本の繊毛は幅150μm、長さ300μm、厚さ3μmで、20ミリ角の基板上に4382本の繊毛を作りました。


    電極内蔵繊毛電極
    (静電アクチュエーター繊毛、長さ850
    mm)

    画像をクリックするとムービーをダウンロードできます

    可動電極基板厚さ0.2mm、駆動電圧150V、駆動周波数10Hz


    直径250mmの光ファイバーの駆動





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